第5章.書き込みとディエンファシス処理

5.1 プリエンファシスとディエンファシス
 プリエンファシスとは、録音時にあらかじめ決められた特性で高域部のレベルを上げてる処理のことです。そして、再生時には録音時とは逆の特性で高域部のレベルを下げる処理を行いますが、この再生時の処理のことをディエンファシスといいます。PCMプロセッサ―では録音時にプリエンファシス処理が行われておりますので、再生時にはディエンファシス処理を行う必要があります。
 このプリエンファシスとディエンファシスは音楽用のCDでも使用されることがあるため、CDプレーヤーにはディエンファシス処理の回路が内蔵されています。そこで、PCMプロセッサ―で録音されたディジタルデータをCD-Rに書き込む場合には、CDプレーヤーでディエンファシス処理が行われるようにフラグを立てておく必要があります。

5.2 ソフトウェアによるディエンファシス処理
 前項で説明したように、基本的にはCD-Rに書き込み時に注意すれば特に問題はありません。ただ、使用するCD-R書き込みソフトの種類によって、ディエンファシス処理のためのフラグを立てる設定が不可能なものがあります。また、プリエンファシスとディエンファシスは音楽用のCDでも使用されることがあると説明しましたが、実際に市販されている音楽用CDでプリエンファシス処理が行われているものは少なく、最近のローコストのCDプレーヤーやカーオーディオ用のCDプレーヤー等では、ディエンファシス処理回路を持っていない製品も出てきているとの情報もあります。
 今回、私がCR-R化を検討している音源は私の友人等も再生することがあります。また、私が現在所有するCR-R書き込みソフトでは、ディエンファシス処理のためのフラグを立てることができません。そこで、汎用性を優先しソフトウェアでディエンファシス処理を行ってからCD-Rへの書き込みを行うことにしました。
 第4章での0.5fsのチャンネル間位相差の補正でも説明したように、オリジナルのデータに何らかの処理を行うわけですから、ディエンファシス特性以外の特性が変化します。性能を優先するのであればCDプレーヤー側でディエンファシスするべきでしょう。

5.3 実行と確認
 ソフトウェアでディエンファシス処理を行うTOOLは、複数のものがフリーで入手可能です。私は窓の杜で紹介されていた、東海林さん作成のWAVEFLT2Lを使用してみました。
 ディエンファシス処理を行うTOOLが決まったので、周波数特性の確認をしてみることにします。周波数特性の測定には、efuさん作成のWaveSpectraを使用しました。
 まず、確認に使用したSWEEP信号の周波数特性を下記に示します。

オリジナル信号の周波数特性
オリジナル信号の周波数特性

 次に上記のSWEEP信号をPCM-501ESに録音、再生してPCに取り込んだデータの周波数特性を下記に示します。本来、プリエンファシス処理では、最高域部で約10[dB]上昇していなくてはなりませんが、わずかに不足しているようにもみえます。

PC取り込み時の周波数特性
PC取り込み時の周波数特性

 そして、上記のデータにWAVEFLT2Lでディエンファシス処理を行った場合の周波数特性を下記に示します。10kHz以上の高域部分でわずかなレベルの低下がありますが、これはもとのオリジナル信号でもわずかにレベルが低下していることと、プリエンファシス時の高域部の上昇がわずかに不足しているためであり、ディエンファシス処理に問題があるわけではないと考えます。オリジナル信号に近い特性が再現できていると考えます。

ディエンファシス処理後の周波数特性
ディエンファシス処理後の周波数特性

 これで、CD-Rへの書き込みの準備が整いました。あとはCD-Rに書き込めば音源のCD-R化は終了です。ただ、私の場合、CD-Rへの印刷、CDジャケットの版下作成、印刷等、まだ続きます。


第6章.まとめ
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