第2章.PCMプロセッサーからのデータの取り出し(PCM-501ESの改造)

2.1 データの取り出し方法の検討
 現在、市販されているディジタルオーディオ機器には、S/P DIF、いわゆる、ディジタルIN、OUTのI/Fが付いているものが多く存在します。しかしながら、PCMプロセッサーが販売されて当時、ディジタルI/Fはまだあまり普及しておらず、PCMプロセッサーにもディジタルI/Fが付いたものはほとんどありませんでした。ただ、SONYから販売されていたPCM-553ESDには、当時としてはめずらしくディジタルI/Fがついておりました。
 しかしながら、このディジタルI/FのついたPCM-553ESDは中古市場でも非常に高額(※)です。そこで、安価で入手可能なPCM-501ESにディジタル出力を追加する改造を行うことにしました。

※.最近はオークション等でほどほどの金額で入手できるようです。(2013/07/07)

2.2 改造方針
 PCM-501ESとPCM-553ESDの主な違いは、このディジタルI/Fの有無です。そこで、まずはPCM-553ESDの回路を参考にしてPCM-501ESを改造する方法が考えられます。しかしながら、PCM-553ESDのディジタルI/F回路では、一部、特殊(入手困難)な部品が使用されているうえ、使用されているIC等も現在ではすでに廃品種となり入手不可能になっているようです。
 そこで、現在、一般に市販されているICを使用し、回路を新規に設計して改造することにしました。

2.3 使用ICと回路説明
 まず、ディジタルオーディオI/F用ICですが、これは、一般的に普及しているCS社のCS8402Aを選択しました。このCS8402Aを動作させるためには、サンプリング周波数(fs)の128倍のクロック信号、128fsのクロック信号が必要です。
 まず、PCM-501ESの内部で128fsのクロック信号が使用されていないかどうか?を確認することからはじめました。すると、32fsであるBCK(Bit ClocK)に同期した32fsの数倍の周波数が使用されていることが判明しました。この信号が128fs、もしくは、256fsだと助かるなあ、と思いながら周波数を確認してみたところ、残念ながらBCKの7.5倍の周波数、つまり、240fsであることがわかりました。
 240fsから分周回路等で128fsを作成することは困難であるため、32fsのBCKからPLL回路を用いて128fsを生成することとしました。PLL回路用のICには、数年前から民生機器等でも使用されており、回路設計を業務とする方たちには一般的なTI社のTLC2932を選択しましたが、アマチュアの方たちにはこのICの入手は容易ではないかもしれません。
 あとは、分周回路のためにTC74VHC163、出力バッファ用にTC74VHCU04を使用しました。

2.4 改造と動作検証
 プリント基板を作成したわけではなく、私の手作りの基板でお恥ずかしいのですが、PCM-501ES内部に組みいれた基板の写真を公開します。

基板写真

 ディジタル出力取り出しのコネクタですが、リアパネルに穴をあける加工に手間がかかるので、今のところは"COPY-OUT"端子を流用しています。
 当初、CS8402Aの設定にミスがあり、PCでの取り込みができませんでしたが、その後、もう一度回路を見直し修正の結果、PCに取り込むことが可能となりました。


第3章.0.1[%]の速度偏差の実験
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